第52章

青木圭はテーブルに倒れ込み、目の前がぐるぐると回り、頭の中で耳鳴りが響いていた。動こうとしても力が入らない。

江口ココが逃げる音を聞いて、ようやく体を起こしたが、激しいめまいに襲われた。

頭に手を当てると、生暖かく滑りやすい感触があった。

「くそっ!」

青木圭は低く呪いの言葉を吐き、頭を押さえながら、よろめく足取りで追いかけた。

江口ココは慌てふためいてエレベーターホールまで走り、必死にボタンを押したが、どれだけ押してもエレベーターは反応せず、ランプすら点灯しなかった。

きっと青木圭が意図的にエレベーターをロックしたのだろう……なんて計算高い男なんだ!

江口ココは考える暇もなく...

ログインして続きを読む