第12章

ホテルの朝食は豊かに用意されており、二人は楽しく食事を楽しんでいた。窓から差し込む陽光の中、時間はゆったりと流れていた。

「あとで会社に行くとき、新星の前を通るから、一緒に連れて行こうか」

トーストにバターを塗りながら、佐藤光弘は淡々と言った。

水原音子は牛乳を一口飲んで急いで首を振った。

「いいえ、私は午後から新星に行くつもりです。それに、私たちの...」

佐藤光弘が顔を上げると、彼女の「関係」という言葉が途切れた。

バターを塗ったトーストを彼女に渡し、手を引っ込めながら、

「安心して、約束したことは当然守るよ。新星の方では、最高責任者だけが君が本社から引き抜かれた人だと知っ...

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