第15章

ウィラーを離れた後、水原音子はまず工房へと向かった。

工房は会社からそれほど近くはなく、普段は彼女とさよりが研究開発を行い、新製品の成功が確定してから初めて大量生産に投入されるのが通常だった。

しかし高橋遥斗という男は目先の利益を追い求め、時には新製品の安定性テストが完了する前に急いで生産に投入し、新商品の発売を焦っていた。

彼の言葉を借りれば、市場は刻々と変化し、チャンスを掴まなければすぐに取って代わられる。だから絶えず新製品を開発し、消費者の目を引き続け、市場を確保しなければならないのだという。

こうした彼のマーケティングモデルに、水原音子は実際のところ賛同していなかった。

新...

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