第17章

急スピードで走り、すぐに後ろの車は影も形もなくなった。

「彼が人をつけたのは、私がまだ新星と関わりを持っているかどうか確かめたいだけよ」振り返って、水原音子は悟ったように言った。

「ん?」佐藤光弘は眉を上げた。「新星には行かないと約束したのか?」

「何も約束していないわ。でも彼は、自分が私を説得できたと思っているのかもしれない」

彼女は実際には何も約束していなかった。高橋遥斗は自分のあの下手くそな嘘がまた一度彼女を騙せたと思い込んでいるだけだった。

どうせ以前もいつもそうだった。初めてではないから、彼はすっかり手慣れたものだ。

ただ彼が知らないのは、以前の水原音子は彼に十分な信頼...

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