第28章

「水原音子は会社の指示に従わず、他社と結託してウィラーを裏切ったため、会社から除名されました」高橋遥斗はさも当然という顔で言い、さりげなく彼女に封筒を渡した。「君もウィラーにはしばらくいるだろう。君の働きぶりは会社も見ているよ。しっかり働けば、前途は明るいぞ!」

さよりは顔を下げ、膨らんだ封筒をちらりと見た。

「開けてみなよ」顎でしぐさして、高橋遥斗は少し得意げな笑みを浮かべた。

実は開ける必要もなかった。テーブルに投げられた封筒は少し開いており、中から札束が見えていた。その厚みからして、決して少ない金額ではないことは明らかだった。

「高橋社長は、私を買収しようというのですか?」眉を...

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