第40章

研究所というものは、一般的に市街地から少し離れた場所にあるものだ。先ずは、かなりの敷地面積を必要とするため、郊外の方が適当な場所を見つけやすく、価格も手頃だからだ。そして、実験とは本来、心を無にして集中すべきものであり、さらに郊外は植物の栽培がしやすく、香料の原材料も豊富だからである。

以前ウィラーにいた頃、研究室は郊外にあった。しかし高橋遥斗の経済力は限られていたため、古い工場の半分を借りただけで、香料の仕入れのたびに、彼がぶつぶつと不満を漏らし続けていたものだ。

もちろん、製品が完成すると彼も喜んで、彼女と未来を語り合ったものだ。そう、語り合う、ただ語り合うだけだった。

場所は少し...

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