第45章

高橋遥斗はしばらく黙考した後、「それもいい!」と頷いた。

水原音子に電話をかけるには、借りた携帯を使うしかなかった。彼女は二人とも着信拒否リストに入れていたのだ。

電話を受けた時、水原音子はちょうど研究室から出てきたところだった。すべての研究分析データが出揃い、詳細な記録も完了していた。あとは中村美香に渡すだけで、予定より早く仕事を終えたことになる。

彼女にとって、これは特に難しいことではなかった。天性の才能があり、ここ数年はほぼ毎日研究室に篭っていたため、すっかり慣れていたのだ。

仕事の特性上、研究所には専用のシャワールームがあり、水原音子はゆっくりと入浴を楽しんだ。服を着終え、髪...

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