第48章

「ふん」と彼を一瞥すると、水原音子は再び視線を自分のスマホに戻し、相手にする気すら見せなかった。

高橋遥斗は彼女が意図的に無視していることを理解し、それ以上この件にこだわらず続けた。「この数日間、俺と羽衣でよく考えたんだ。俺たち三人の間の感情問題を仕事に持ち込むべきじゃない。これまでお前にも色々と助けてもらったし、以前のことは、もう水に流そう。訴えは取り下げるし、追及もしない。お前はこれからどこへ行こうと自由だ。お互い清算して、それでいいだろう?」

「沖野さん、どう思われますか?」水原音子は彼を無視し、隣の弁護士に尋ねた。

それまで発言せず、時折メモを取るだけの傍聴者だった沖野弁護士は...

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