第49章

江口羽衣は呆然としていた。

高橋遥斗が彼女にこんな態度を取ったことは一度もなかった。いつも優しく話しかけ、彼女が甘えても辛抱強く慰めてくれていたのに。まさかこんな風に彼女を叱りつけ、それも人前で恥をかかせるなんで。

あまりの衝撃と困惑に、泣き喚くことさえ忘れ、ただその場に立ち尽くしていた。

振り返ると、そんな彼女の姿を見た高橋遥斗はふと胸が痛み、慰めの言葉をかけようとしたが、今はそれどころではなかった。ただ溜息をついて言った。「今、頭が混乱している。何とか解決策を考えてくる。少し休んだら自分で帰ってくれ」

そう言い残すと、彼はそのまま立ち去り、彼女を一人残していった。

江口羽衣は怒...

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