第9章

 正仁はベッドに背を預けていた。腹の傷が、まだ焼けつくように痛む。

 ドアが開き、二人の衛兵がさくらを部屋の中へ押し込んだ。

 彼女は慌ててベッドサイドに駆け寄り、顔を心配に歪めた。

「正仁! ああ、無事なの? すごく心配したのよ」

 彼は彼女をじっと見つめた。

「大丈夫だ」

 彼女は手を伸ばして彼の手を握ろうとしたが、彼はそれを避けるように引っ込めた。さくらの表情に一瞬、違和感が走る。

「あの日のことを覚えているか?」

 正仁の声は静かだった。

「君が俺を救った日のことだ」

 さくらの目がパッと輝いた。

「もちろんよ。忘れるわけないじゃない」

「話してくれ」

「え...

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