第82章 アネル騎士長!

「は、陛下……その、実のところ、彼女はまだ千名の騎士しか率いておりませんが、フリーデル様は彼女の昇進をお考えのようであります」

士官はそう言って頭を垂れた。

内心、彼は恐怖に震えていた。普段からスコダ公爵を崇拝していたため、アネルに対しても元々好感を抱いていた。それに加え、ここ数度の戦闘で、アネルはスコダ公爵に勝るとも劣らない戦術の才能を見せつけている。だからこそ、思わずあのような呼び方をしてしまったのだ。今、うっかりと王の御前で口にしてしまったからには、もし咎められても弁解のしようがない。

しかし、ロフは高らかに笑った。

「お考えのよう、だと? 王弟が彼女に褒賞を与えずとも、...

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