第35章

「どうしてここに?」

「入れ!」

高橋司は葉山萌香の肩を押した。

葉山萌香はよろめいて、二歩後ずさりした。

再び前に出て高橋司を止めようとした時、彼はすでにドアの中に入り、強く閉めていた。

バンという大きな音に、葉山萌香は胸がひと揺れした。

「高橋社長、ご用件があるなら、外で話しましょう」葉山萌香は沈んだ声で言った。

彼女はクルーズ船での高橋司の悪質な行為を思い出した。

「外だって?」高橋司は一歩一歩と葉山萌香に近づいた。

葉山萌香は眉をひそめ、無意識に後退りした。

「今、外に出たら、お前の新しい彼氏に見られるのが怖くないのか?」高橋司は全身から冷気を発していた。

「お...

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