第38章

案の定、それは焦った鈴木悟だった。

「萌香、寝ちゃったの?電話も繋がらないし、インターホンを押しても反応ないし、死ぬほど心配したよ!」鈴木悟は胸をなでおろした。

「無事で良かった、でなきゃ警察に通報するところだったよ!」

「寝てたの。何か用?」

「お姫様、時間を見てよ、もう夕食の時間だよ!」鈴木悟は目に愛情を溢れさせて言った。

「昼はあまり食べなかったね、味が濃すぎたかな?今夜は別のところに行こうよ?さっぱりしたものでも!」

彼の言葉が途切れた。

葉山萌香がまだ断る間もなく。

鈴木悟の視線が彼女を通り越し、彼女の後ろに向けられるのが見えた。

「……」

瞬時に、一枚の上着が...

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