第42章

葉山萌香は軽く口元を引き攣らせた。

何とも言えない気持ちだった。

高橋司がエレベーターから出てきて葉山萌香を見た瞬間、彼の心は不思議と沈み込んだ。

「プロジェクトのことは青木琛に任せて、俺とH市に戻れ」

葉山萌香は手を伸ばし、自分の携帯電話を取り戻した。

そして高橋司を見上げた。その美しい瞳は澄み切っていて、一片の曇りもなかった。

「遠慮しておくわ」

手を引こうとした瞬間。

高橋司に掴まれた。

「お前はもう死の脅迫を受けているんだぞ!」

「怖くないわ」葉山萌香はあまりにも冷静だった。

「こんなことさえ処理できないなら、執行社長なんて夢のまた夢よ」

「小葉ちゃん……」

...

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