第48章

「ホテルの玄関には、黒い社用車が停まっていた。葉山萌香を見ると、運転手が車から降り、ドアを開けた。

青木琛は派手なスーツ姿で、長い脚を折り曲げ、だらしない様子で彼女に挨拶した。

「葉山さん、おはよう」

「おはようございます」

葉山萌香は車に乗り込んだ。

彼女の表情はいつもより冷たかった。

青木琛は直感的に彼女の機嫌があまり良くないと感じた。

しかし、あえて話しかけることもしなかった。

車が発車すると、彼はアイマスクをして仮眠を取り始めた。

こちらに来てから、青木琛は環境の変化に馴染めず、一晩中ろくに眠れなかったのだ。

葉山萌香も彼を気にかけることなく、ずっと誰かとメールで...

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