第51章

平村四広は、一瞬自分の耳を疑った。

「誰が事故に遭ったって?」

「ネットで誰かが黒田さんのことをタレコミしたんです。横領に殺人に放火に、何でもありです。今、警察がもう動き出したみたいで!」入ってきた人物が恐怖に震える声で答えた。

「平村さん、どうしましょう。黒田輝が私たちのことも……」

その人物が言い終わる前に、平村四広は一蹴りを見舞った。

その瞬間、相手はようやく気づいた。オフィスにはまだ本社からの人間がいることを。

彼はすぐに口を閉ざした。

「平村さん、もういいわ」葉山萌香が口を開いた。

彼女にはもう、この茶番劇を見続ける気力もなかった。

平村四広は振り返った。

どう...

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