第52章

頭の中はずっと葉山萌香が先ほど言った「うっかり物を食べたり水を飲んだりしただけで窒息死してしまうかもしれない」という言葉が響いていた。

「もし白状すれば、息子を解放してくれるのか？」平村四広は尋ねた。

葉山萌香は少し困ったような表情を浮かべた。

「平村さん、お子さんが行方不明になったお気持ちはわかります。こちらの件を早く済ませていただければ、私も帰りがけにお子さんを探すお手伝いをしますよ。私、運がいい方なので、ひょっとしたらすぐに見つけられるかもしれませんし」

平村四広はもともと葉山萌香を道連れにするつもりだった。

この時、彼の手に握られた携帯電話はすでに録音状態になっていた。

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