第57章

青木琛がどんな目的を持っていようと、葉山萌香は感謝していた。

この数年間、高橋司という秘書の枷を背負い、どれだけ彼女が良い仕事をしても、功績を高橋司のものとして語る人たちがいた。

これは数少ない、彼女のために声を上げてくれる人がいた瞬間だった。

青木琛の気分もよかった。

やっと葉山萌香の顔に本心からの笑顔が見られた。

食堂の食事さえも美味しく感じられるようになった。

昼食を終えると、葉山萌香は市内へ向かうところだった。

「大体の件は解決しましたので、後続の作業は青木社長にお願いします」葉山萌香はまた公私をわきまえた冷静な様子に戻っていた。

「直接H市に戻るのか?」青木琛は尋ね...

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