第11章

看護師が駆け寄ってきた。

「高橋社長、何かありましたか?水原先生は手術に入られていますが!」

高橋司は眼光を冷たくすると、踵を返して大股で立ち去った。

水原歩美が手術を終えて戻ってきたのは、それから三時間後のことだった。

今日は長時間立ちっぱなしだったせいで、両脚がふらつき、体全体から気力が抜けるのを感じていた。

看護師から高橋司が彼女を探していたと聞き、彼女は制服も着替えずに鈴木雪子の病室へと向かった。

高橋司は入口の壁に寄りかかり、長い脚を交差させていた。その姿は気品があり、同時に慵懶な印象を与えていた。

足音を聞くと、彼は顔を上げ、深い黒瞳で冷たく彼女を見つめた。

水原...

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