第17章

二人一緒にゴミを捨てに行くと、田中さんは思わず笑みを浮かべた。

「お嬢様、婿殿はなかなか良い方ですね。あなたのことを大事にしておられますよ」

「普段はあんなに冷たい性格なのに、あんなに辛抱強くお義父様と食事をして話をするなんて、すべてはお嬢様の顔を立てているからですよ」

水原歩美は一瞬固まった。彼が彼女を大事にしている?

そんな言葉は本人の口から直接聞いても、信じられないだろう。

「お二人はもっと早く子供を作るべきですよ。子供ができれば家も賑やかになって、お二人の仲ももっと良くなりますよ」

水原歩美は何も言わず、ただ淡く微笑むだけだった。

ふと顔を上げると、エレベーターから出て...

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