第24章

心が甘く泡立つような幸せに浸っていた鈴木雪子は、突然目を見開いた。

彼女は何を見たのだろう?

水原先生が自分の車から降りてきたではないか。しかも一言の挨拶もなく、降りるなり小走りで病院に入っていった。

これは何を意味するのか?

こんなに遠慮のない態度をとるのは、とても親しい間柄の人たちだけだ!

水原歩美がエレベーターを出て、鈴木雪子の病室の前を通りかかると、彼女が血の気を失った顔で窓辺に立っているのが見えた。

彼女は鈴木雪子が自分が高橋司の車から降りるところを見たに違いないと察した。

着替えを済ませて出てくると、高橋司が冷たい表情でエレベーターから出てきて、大股で鈴木雪子の病室...

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