第29章

この人は高橋おばあさんの妹で、高橋司からは「おばあちゃん」と呼ばれている。

このおばあちゃんは何らかの理由で、ずっと水原歩美をあまり好いていない。

ただ幸いなことに、この三年間、二人が顔を合わせる機会はそう多くなかった。

水原歩美は職業的な笑顔を浮かべた。「おばあちゃん!」

おばあちゃんは淡々と「うん」と一言返しただけで、水原歩美に視線を向ける気さえなかった。

高橋司は人におばあちゃんのためにお茶を入れさせた。

「おばあちゃん、どうぞ座って!」

おばあちゃんはすぐに高橋司に視線を向け、その表情はこの上なく優しく温かで、慈愛に満ちていた。

「お祖母さんはどこ?」

「二階にいる...

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