第3章

水原歩美は眉を軽く寄せた。お婆さんの情報網は相変わらず優れている。

高橋司が今日鈴木雪子と病院に現れただけで、もうお婆さんの耳に入っているのだ。

きっと彼は自分が告げ口したと思っているのだろう!

そのとき、部屋の中から使用人の驚きの声が聞こえてきた。

「お婆さん、どうしたんですか?」

高橋司は急いで中に入った。

「医者を呼んで、早く!」

すぐに高橋家のかかりつけ医が来て、検査や点滴など大忙しだった。

持病だった。医師は刺激を与えないようにと言い残した。

水原歩美は部屋の入口で不安そうに待っていた。すぐに高橋司が出てきて、彼女を廊下の端まで引っ張っていった。

歯を食いしばり...

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