第39章

高橋司は軽く鼻を鳴らすと、彼女の怯えた様子を見て立ち上がり、襟元を整えた。

「鈴木雪子のことは彼女自身に任せる。俺は用事があるから先に会社に戻るぞ」

彼が去るのを見て、水原歩美はすぐに辞表を書いた。

それを印刷し、彼女は院長室へと向かった。

「水原先生、どうしたんですか?」

水原歩美は手にした封筒を差し出した。

院長は冒頭を見るなり、大きく『辞職願』と書かれた文字に目を見張った。

彼は信じられないという表情を浮かべた!

身分はともかく、彼女は高橋おばあさんの義理の孫娘だ!

能力も、若いながらも医術は卓越しており、今や病院の中核だ。あと一、二年も働けば、昇進も間違いなかった。...

ログインして続きを読む