第4章

水原歩美はバッグを下ろして、彼を見つめながら言った。

「どうして病院に来たの?どこか具合でも悪いの?」

「いや、そういうわけじゃない。ほら、帰国したばかりだからさ、真っ先に会いたかったのはお前だよ!」

「うちの泣き虫がまだ昔のように泣き虫かどうか、確かめたくてな!」

水原歩美の顔が赤くなった。伊藤家と水原家は隣同士で、二人は一緒に育ったから、その絆は他の人とは比べものにならないほど深かった。

以前、伊藤圭が留学する時、彼女はボロボロと泣いて、家族にさんざん笑われたものだ。

あの頃はまだ高橋司と知り合ってもいなかった。

「そうだ、ついでに健康診断を受けようと思ってるんだ。診断書を...

ログインして続きを読む