第41章

水原歩美は高橋司の後ろに続いてオフィスに入った。

彼女は初めて高橋司のオフィスを訪れたが、冷たい色調は彼の雰囲気によく合っていた。

オフィスに入ると、男の視線が淡々と彼女を一瞥した。

「適当に座ってくれ」

彼女が離婚の件について口を開こうとした時だった。

高尾がオフィスのドアをノックした。

「高橋社長、こちらに至急サインが必要な書類がございます」

高橋司は頷いた。

高尾は歩み寄り、恭しく書類を高橋司の前に差し出した。

水原歩美は座ることを選ばず、脇に立っていた。

高橋司が書類を確認している間、彼は顔を上げて水原歩美を見た。その冷たい黒瞳には少し探るよ...

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