第43章

高橋司は前を歩く女性を眺め、瞳に冷たさを宿していた。

最近、水原歩美はまるでトゲだらけのハリネズミのように、あちこちに刺を向けるようになっていた。

水原優子の側で数日過ごしたせいか、性格まで水原優子に近づいてしまったのだろうか。

高橋司は僅かに目を細め、ふと水原歩美を水原優子の家に住まわせ続けたくないという思いが脳裏をよぎった。

二人が家に入ると、執事がすぐに知らせに行った。

水原父は笑顔で出てきた。

「司くんはやっぱり病院まで歩美ちゃんを迎えに行ったのかい?」

「君たちの仲がこんなに安定しているのを見ると、本当に嬉しいよ」

「さあ、早く上がりなさい」

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