第47章

高橋おばあさんは高橋司の性格をよく理解していた。

彼はこれまであまりにも順風満帆で、失って後悔する味を知らなかったのだろう。

高橋司の祖母でありながらも、彼が間違った決断をして後悔する姿を見てみたいと思っていた。

彼に教訓を与えたかったのだ。

「おばあさま、ありがとうございます」

水原歩美は冷静さを取り戻し、顔に薄く笑みを浮かべた。

高橋司が離婚したくないはずがない。そもそも最初に離婚を切り出したのは彼なのだから。

一ヶ月に何度も離婚協議書を渡してくる人も彼だった。

あの人は何もかも自分の手で支配したがる。

おそらく離婚協議書が自分の側で作成されたものではないから、不安なの...

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