第48章

金田弁護士はその場で足を止めた。

「高橋社長、他に何かご指示は?」

高橋司の瞳の色は淡く、感情はほとんど読み取れなかった。

「協議書が出来上がったら、私に渡せ」

金田弁護士は頷いて承諾した。

その日の退勤後、金田弁護士は協議書を作成し、高橋司のオフィスに届けた。

離婚協議書の作成については、金田弁護士はすでに手慣れたものとなっていた。

というのも、この一ヶ月、高橋司は一週間おきに水原歩美に離婚協議書を送るよう彼に要求していたからだ。

離婚協議書も何度も修正を重ね、水原歩美に離婚を同意させるための条件が練られていた。

離婚協議書を高橋司のオフィスに届けた。

オフィスチェアに...

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