第5章

高橋司の眼差しがどんどん冷たくなっていくのを見て、主任は慌てて取り繕った。

「水原先生はきっと二件続けて手術をこなして疲れているから、訳の分からないことを言っているんですよ。この件は私が手配しますから……」

水原歩美は上着に着替えると、すぐに立ち去った。

廊下では伊藤圭が待っていて、彼女が出てくるのを見ると思わず微笑んだ。

「検査終わった?何も問題なかったよな。さあ、今夜は集まりがあるんだ。一緒に行こう。何人かの大物を紹介してやるよ。もしかしたら水原家のプロジェクトに興味を持つ人がいるかもしれないぞ」

水原家の話を聞いて、水原歩美はすぐに気持ちを引き締めた。

もし水原家の塩漬けに...

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