第50章

彼女の体は細く、今は橋司を見て唖然としていて、今にも倒れそうな様子だった。

高橋司は無表情で彼女の横を通り過ぎた。

鈴木雪子は手を伸ばして高橋司の腕をつかんだ。

「司くん、私にはもう一度チャンスがないの?」

高橋司は冷淡な眼差しで彼女を見た。

「別れを切り出したのはお前だろう。俺がお前の夢を支えられないと言ったのはお前だ」

「今になって、チャンスがあるかと聞くのは、つまり、俺がまたお前の夢を支えられるようになったと思ったからか?」

「お前の夢って何だ?」

鈴木雪子は顔色が青ざめ、首を振って否定した。

「司くん、違うの、あの言葉は本心じゃなかったの。この三年間、一度も司くんの...

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