第11章 彼女にもうチャンスを与えない

鈴木七海はすでに十分すぎるほど落ち込んでいるというのに、彼は慰めるどころか、傷口に塩を塗るようなことばかり言う。こんな話し方、こんなやり方があるだろうか。

やはりプレイボーイはプレイボーイ、まったく頼りにならない。

吉田陽斗も佐藤奈須を睨みつけ、黙れと合図した。

佐藤奈須は肩をすくめ、まるで意に介さない様子だ。彼は杯の酒を一気に飲み干すと、手際よくグラスをウェイターの盆に置いた。

彼は目を細めてぐるりとあたりを見渡し、感嘆の声を漏らす。

「中村家はやはり大したものだな。たかが誕生祝いにここまで盛大な宴を開くとは。中村家の奥様、俺を案内して回る気はないか」

鈴木七海は考え込み、眉を...

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