第15章 私は姉を間違えましたか

鈴木南はか細い声で、悲しげに泣いていた。誰が見ても庇護欲を掻き立てられるだろう。

冷たい風が吹き抜け、彼女のこめかみの長い髪を乱した。

思わず、彼女はぶるりと身を震わせ、中村健の腕を抱く力をさらに強めた。

中村健は眉をひそめる。

思えば、彼と鈴木南はもう何年も前からの知り合いだ。しかし、彼女がここ数年海外に留学していたため、二人の連絡はもっぱら電話が多く、実際に体に触れるようなことはなかった。

「中に入ろう。外は寒い」

中村健の声は低く沈んでいた。

陰になって、彼の顔の表情は窺えない。

鈴木南は小さく頷き、ようやく両腕を彼から離したが、それでも彼の手を握ったままだった。

「...

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