第16章 あなたは彼を擁護していますか

いずれにせよ、昨夜のような状況がいいことであるはずがなかった。

当時、電話は突然切れ、佐藤奈須がかけ直した時には、鈴木七海の携帯はすでに電源が切れていた。

一睡もできない夜だった。

彼は鈴木七海の安否を気遣い、早朝から中村グループへと駆けつけたのだ。

今、彼はその細長い瞳で鈴木七海を観察している。

彼女の顔は少し青白いが、精神的には問題なさそうに見えた。

「中村健に何もされなかったか?」

彼の口調はさりげないものだったが、彼女に向けられた眼差しには意味ありげな色が浮かび、何かを探っているようだった。

鈴木七海は当然その意味を理解した。

昨夜の光景がまざまざと目に浮かび、頬が...

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