第37章 彼女は無実だ

彼は鈴木七海に向かって瞬きをした。その眼差しはきらめき、どこか狡猾な光がちらついている。

彼女は彼の母親である佐藤馨に会ったことがある。

彼もまた、彼女の母親である黒田星奈に会っていた。

その点から言えば、彼らは確かに互いの親に会った仲だった。

「そうだろう、鈴木さん?」

佐藤奈須がからかうように尋ねた。

その時、鈴木南はすでに階下に下りており、中村健のそばへ行くと、その手を固く握った。頭を彼の肩にそれとなく寄り添わせる様子は親密そのもので、まるで恋人同士のようだ。

鈴木南は鈴木七海を一瞥し、その口元に浮かんだ笑みには、あるようなないような挑発の色が滲んでいた。

鈴木南は皆に...

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