第40章 あなたは私の酒に薬を入れた

初めから、中村健は子供を作るつもりなどなかった。

彼が言うには、二人の婚姻は一時的なものであり、後々面倒な問題に巻き込まれないよう、絶対に子供は作らない、とのことだった。

冷酷かつ明晰な彼は、誰かにそれを利用されて脅されることを望まなかった。

だから、結婚したその日から、彼ははっきりとこう告げていた。「鈴木七海、分かっておけ。俺たちに子供はできない」

五年もの間、二人が事を為すたび、中村健は細心の注意を払って避妊措置を講じてきた。

それなのに、今、どうして妊娠などしているのだろうか。

「鈴木七海、自分が妊娠していることに気づかなかったのか？」

吉田陽斗は眉を顰め、彼女をじっと見...