第66章 自分の身分を忘れないで

さすがはF大学というべきか、来賓は国内の錚々たる顔ぶればかりで、中には世界各地からわざわざ駆けつけた名士の姿もあった。

今夜、F大学の卒業生として、鈴木七海もまたこの場に招かれていた。知人と挨拶を交わし、一通り簡単な応対を済ませると、彼女は静かなベランダを見つけて腰を下ろした。

あまり賑やかな雰囲気は好まない。こうして一人、静かに過ごす時間の方が好きなのだ。

ベランダはたくさんの生花で飾られ、まるで庭園のようだった。

彼女はベランダに立ち、フルーツジュースの入ったグラスを手に、そっと一口含んだ。

窓の外には、深い夜が広がっている。

ちょうどその時、背後から聞き覚えのある足音がした...

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