第40章

彼女の言葉に桜井美也は一瞬足を止めた。

利用?

自分が何の役に立つというのだろう。

池下誠のような頭の良い人が誰かを利用するにしても、自分のような者を選ぶはずがない。

道村彩音は美也が躊躇うのを見て、やはり知りたいのだと思ったのか、顎を上げて得意げに言った。

「彼があなたを何に利用してるか、知りたくないの?」

利用なんて、あまりにも現実離れしている。

けれど美也には確信があった。道村彩音は二人の間を引き裂くためにあらゆる手段を使ってくるだろうと。

振り返ると、道村彩音の唇の端にはまだ笑みが浮かび、美也が問いただすのを期待しているようだった。

美也は彼女の思い通りにするつもり...

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