第57章

メインの宝石だけでも十カラット、周りには一カラット以上のダイヤモンドが添えられている。

コレクションする価値のあるデザインだ。

桜井美也が振り返ると、道村彩音が彼女と視線を合わせていた。唇の端を上げ、目には挑発の色が宿っている。

確かに彼女が自慢したくなるのも無理はない。

彼女が池下家に入って以来、池下平子は彼女に何一つ買ってあげたことがなかったのだから。

結局、池下平子は6億円で落札し、少しも惜しそうな様子はなかった。

宝石が道村彩音の前に渡され、これだけの人が見ている前で、道村彩音の面目は十分に保たれた。彼女は嬉しそうだ。

「素敵ですね、おばさん、本当に目利きですね」

池...

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