第12章

「雪紘、その人誰?」

千早玲奈は嫌悪感を隠そうともせずに言った。

「なんでそんな人を家に連れ込んだの? すごく汚いんだけど……」

彼女は湯上がりの芳しい香りを纏い、手入れの行き届いた巻き髪に、指先にはダイヤを散りばめた煌びやかなネイルが施されている。

それに比べて。

水無瀬柚季は服も髪も乱れ、顔色は幽霊のように蒼白だった。

鷺沢雪紘はソファに座り、少し皺の寄った袖口を丁寧に直していた。

言葉を聞いて、強張ったままの水無瀬柚季を一瞥する。

「確かに、汚いな」

水無瀬柚季の自尊心は、その一言で粉々に砕け散った。

彼女は必死に体を支えて立ち上がった。一刻も早く、...

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