第17章

「お父さんの、お母様でしょう」

水無瀬柚季は掠れた声で言った。

「自分の食い扶持だけで手一杯なんだ。他人の面倒まで見てられるか!」

父はそう吐き捨てると、バタンと音を立ててドアを閉め、自室へと戻っていった。

母は祖母をなだめすかして部屋へと連れて行った。部屋といっても、そこは弟の部屋だ。もともと弟と祖母は同じ部屋を使っていた。

だが弟は成長するにつれ、それを嫌がるようになった。

祖母の認知症を疎ましく思い、身の回りのこともできず、頻繁に粗相をする祖母を嫌悪したのだ。

だからこそ、柚季は祖母を療養施設に入れるしかなかった。

「お父さん、今はあんな感じだけど……あなた...

ログインして続きを読む