第34章

病院で二泊した水無瀬柚季は、退院の準備を整えていた。

怪我のことは光ちゃんには伝えていない。「二、三日出張してくる」と嘘をついたのだ。

家に帰ってからも、言うつもりはない。

あの子を怖がらせたくないからだ。

丸二日会えなかった光ちゃんは、ママが恋しくてたまらなかったらしい。久しぶりの再会に柚季の懐へ飛び込むと、テコでも動かないといった様子でしがみついてきた。

母と娘は、しばらくの間そうしてじゃれ合っていた。

ふと、水無瀬柚季の携帯が震えた。会社のグループチャットだ。

『今日、美女が落下傘みたいにいきなり入ってきたぞ』

『マジで? くそっ、今日病欠したのが悔やまれ...

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