第35章

洗面所にて。

鴉城咲夜は水無瀬柚季の行く手を阻むと、問答無用で平手打ちを繰り出した。

だが、水無瀬柚季はそれを避けた。

空を切った手は止まらず、鴉城咲夜は勢い余ってよろめき、そのままドアに頭突きする形になった。

ゴチン、と鈍い音が響く。

額がみるみるうちに赤く腫れ上がっていく。

彼女は痛みに顔を歪めた。

「水無瀬柚季、あんたって最低のクズね!」

「クズって誰のこと?」

「あんたに決まってんでしょ!」

鴉城咲夜は反射的に怒鳴ったが、すぐにハッとして口をつぐんだ。

「あんた……」

「言葉には気をつけたほうがいいわよ」

水無瀬柚季はスマホの画面を彼女に向...

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