第39章

水無瀬柚季は自席で、ぼんやりと自分の右手を見つめていた。

そこはまだ、完治には程遠い。

リストバンドの下には、醜い傷跡が隠されている。

(気のせいだろうか?)

昨夜、誰かが腕を優しく撫でてくれたような気がしたのだ。

慈しむような、壊れ物に触れるような、優しい手つき。

だが、そんなことはありえない。

当時、彼女のそばにいたのは鷺沢雪紘だけだ。

あの男は彼女を骨の髄まで憎んでいる。世界中の人間に優しさを振りまくことはあっても、彼女に対してだけは、一欠片の憐憫さえ向けるはずがない。

コンコン、とデスクが叩かれた。

水無瀬柚季はハッとして顔を上げ、山城雨の視線...

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