第50章

三人が村に足を踏み入れると、遠くの民家から一匹の犬が飛び出し、狂ったように吠えかかってきた。

水無瀬柚季は反射的に鷺沢雪紘を見た。

案の定、彼は不快そうに眉をひそめている。木下矢が咄嗟に彼の前に立ち塞がり、手にはどこから拾ってきたのか、一本の木の棒が握られていた。

犬は警戒して近寄れず、ただ遠巻きに喚き立てるだけだ。

やがて騒ぎを聞きつけた家の主人が出てきて、飼い犬を怒鳴りつけた。

「失せろ! 真っ昼間からキャンキャンうるせえんだよ! ウチの客じゃねえんだ、黙らねえと蹴り殺すぞ」

犬は尾を巻き、すごすごと小屋へ戻っていった。

主人は鷺沢雪紘たちを一瞥した。

「あ...

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