第61章

椎葉櫂は怒りのあまり、頭が沸騰しそうだった。

それなのに、雨宮澪はさらに火に油を注ぐような言葉を吐く。

「気に入らないなら帰って。別に頼んでないわ。ただ、足手まといにだけはならないでちょうだい。これは人命に関わることなの。あの子の容態が安定したら、お金は返すわよ。一円残らずね……」

言葉が終わるより早く、椎葉櫂は彼女の腰を引き寄せ、その唇を塞いだ。

雨宮澪が驚愕に目を見開く。

しばらくして唇が離れると、椎葉櫂は彼女を見つめた。その呼吸は少し荒くなっている。

「売り言葉に買い言葉はやめろ。もっと可愛く甘えてくれれば、たとえ本当にお前の子だろうと認めてやったものを」

雨...

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