第63章

水無瀬柚季が目を覚ましたのは、警察署の応接室だった。

昏倒していたのは十分にも満たない時間だったようで、すぐに意識は戻った。

だが、水無瀬の父はすでに立ち去っていた。

警察官の話によれば、彼は娘の安否を気遣う素振りさえ見せず、他人づてに命に別状はないと確認するや否や、背を向けて去っていったという。

水無瀬柚季は一人で警察署を後にし、ふらつく足取りで帰宅した。目の前には、荒らされ、散乱した家財道具が広がっている。

そこへ、雨宮澪が息を切らして駆け込んできた。

「柚季!」

彼女は水無瀬柚季の体を上から下まで検分するように見回した。

「無事なの!? もう、心配で死ぬか...

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