第64章

「万が一の話よ。ほら、人生って何があるかわからないじゃない?」

水無瀬柚季はもちろん、自身のうつ病が深刻化していることなどおくびにも出さなかったが、伝えておくべきことは伝えておかなければならなかった。

「一番心配なのは、光ちゃんとあのおばあちゃんのこと……。もしもの時は、あなたの負担にならない範囲でいいから、気にかけてやってほしいの」

彼女の心残りは尽きない。

両親も弟も、あてにはならない。

自分たちのことで手一杯な連中に、祖母や光ちゃんの面倒など見られるはずがないのだ。

雨宮澪は複雑な表情を浮かべた。

「どうしてそんなこと言うのよ。人生何があるかわからないって言うな...

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