第9章

視線が交錯した瞬間、水無瀬柚季は三秒と持たずに目を伏せた。

逃げ出したかった。せめて鷺沢雪紘の前で、こんな無様な姿は見せたくなかった。

だが、八雲煌が耳元で囁いた一言が、彼女を縫い止めた。

「いい子にしてなよ。そうすれば歩合は君のものだ」

水無瀬柚季の体が瞬時に強張る。

彼女の急所を的確に突き、八雲煌はようやく満足げな笑みを浮かべた。

「鷺沢社長、紹介しよう。今日入ったばかりのホステスだ。器量はいいが、まだ少しウブでね」

彼は軽薄に、水無瀬柚季の白磁のような顎を持ち上げた。

その視線は遠慮なく、彼女を品定めしている。

衆人環視の中、水無瀬柚季はまるで火あぶり...

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