第3章

数日後の夜、私はスタジオに籠もり、内心で膨れ上がる不安を、必死の創作活動で抑え込もうとしていた。『夢見る者たち』の最新話は、まるで勝手に流れ出してくるかのようだった。白樺市の路上で必死に生き抜こうとする伊藤瑠唯。その瞳には、未来への憧憬と、理不尽に抗う強さが入り混じっている。私はペンを握りしめ、自分の混乱や痛み、行き場のない叫びのすべてを、激しく紙の上に叩きつけた。

「夢見る者は誰だって理解されるべきだ。でも、その理解が嘘の上に築かれるべきじゃない」

SNSに最新話を投稿する際、無意識にそんな一文を添えていた。すぐにファンからの「いいね」やコメントが寄せられたが、見慣れない一つのコメントに、私の指先は氷のように冷たくなった。

「水原礼音さん、あなたの作品は映画『移民の歌』を思い起こさせますね。同じように、底辺で生きる人々を真摯に見つめている。三浦享真さんは、特にこういう深みのある芸術作品を評価される方だと聞きました。最近は華やかさばかり追い求めて、本当の価値を理解しない人が多くて残念ですが……」

三浦享真……。その名前は、細い針のように、私の心を正確に刺し貫いた。

前世で、私たちが初めて深く語り合ったのは、『移民の歌』についてだった。彼は言った。真の芸術は慈愛に満ち、顧みられない人々に声を与え、人の心を動かす力を持つべきだと……。それは、水原真衣には決して理解できず、あるいは軽蔑さえするようなことだった。彼女はそれを「退屈」で「儲からない」としか思わないだろう。

「どうしたの?ひどい顔色よ」

コーヒーを手に近づいてきた高橋真佑は、すぐに私の様子がおかしいことに気づき、止まったままのペン先に視線を落とした。

「まだお姉さんと、その『運命の人』のこと考えてるの?」

「ううん、別に……」

私は口ごもった。昼も夜も私を苛み、胸から張り裂けそうになっていた疑問が、またしても抑えきれずにこぼれ落ちる。

「真佑はさ……もし二人が付き合っていて、片方が……本当の自分じゃなくて、相手が好きな自分を必死に演じ続けてたら……それって、本当に幸せになれるのかな?長く続くと思う?」

高橋真佑はコーヒーカップを置き、眉をひそめた。

「演じる?礼音、それって疲れるだけじゃなくて、恐ろしくない?そんなの愛じゃない。むしろ……周到に計画された詐欺みたいなものよ!」

彼女はふと警戒するように私を見つめ、声を潜めた。

「待って……それって、水原真衣と三浦享真のことじゃないでしょうね?」

私は即座に後悔した。一番秘密にしていた考えを、すっかり見透かされた気分だった。慌てて俯き、原稿を整理するふりをする。

「違う!そうじゃなくて……ただ……プロットのことで、何となく聞いてみただけ。二人が……お似合いだといいなって」

私の声はどんどん小さくなり、最後の言葉は自分でも信じられないほど、説得力のない呟きになった。これが、私が守らなければならない、惨めな嘘だった。

高橋真佑の眉間の皺が、さらに深くなった。

「礼音、正直言って、頭の中がブランドバッグとSNSの『いいね』でいっぱいの人が、心から芸術を愛して、深いテーマについて語り合う人と、本当に共通の話題があるなんて想像しにくいわ。それって、どれだけの演技力が必要なのかしら?」

「高橋真佑!姉のことをそんな風に言わないで!」

私はほとんど反射的に彼女を制し、その声には虚勢じみた厳しさが混じっていた。

けれど心の奥底では、高橋真佑の言葉の一つ一つが、毒を塗った針のように、私の最も深い恐怖を的確に突き刺していた。未明にドアの隙間から見えた印刷物、鏡に向かって彼女が唱えていた感情のないセリフ、そして「クサすぎる」と文句を言った時の苛立った声……。

彼女が三浦享真を本当に理解できるだろうか?いや、彼女はただ戦略を実行しているだけだ。運命の恋人を捕まえるための、攻略本を。

ダメだ!こんなこと考えちゃダメ!私は必死に首を振り、まるでこの「反逆的」な裏切りの思考を振り払うかのようだった。罪悪感が再び潮のように押し寄せ、私を溺れさせそうになる。慌ててテーブルの上の画材をかき集めるが、震える指から一度、筆を落としてしまった。

「体調が悪い、頭痛がするの。今日は早めに帰る」

「礼音……」

高橋真佑は心配そうに、困惑に満ちた目で私を見つめていたが、やがてため息をつくだけだった。

「話したくなったら、いつでも聞くから。一人で全部抱え込まないで」

その夜、家に帰り着き、ドアを開けた瞬間、あの息が詰まるような感覚がまた私を襲った。

隣の部屋から断続的な音が聞こえてくる――相変わらずの、教科書を棒読みするような平坦な口調。だが今夜は、明らかに苛立ちと自信のなさが混じり合っていた。

「自主映画の……えっと……撮影技術は、とても深くて……その物語構造は、しばしば伝統的な直線性を打ち破る……」

水原真衣の声には、明らかに丸暗記の跡があり、途切れ途切れの長い間があった。合間にはページをめくるカサカサという音が混じり、必死に次のセリフを思い出そうとしているようだった。

私は玄関で凍りついた。心臓は氷水に突き落とされたように、急速に沈んでいく。

また?二度目のデート?三浦享真は彼女を映画の上映会に誘ったの?

前世の三浦享真は、確かに様々なアート映画に夢中だった。一度、難解な実験映画のあるショットの意味について夜通し語り合ったことがある。魂がぶつかり合うようなあの興奮を、今でも覚えている……。そして今、姉は一番嫌いな科目にでも取り組むかのように、苦痛に満ちた顔でそれらの用語解説を咀嚼している。

ダメだ!比べちゃダメ!これは私のせいだ!こんなこと、思い出しちゃいけない!

私は半ば走るように自室に戻り、ドアを強く閉め切った。そうすれば、絶望を誘う棒読みの声とページをめくる音を、完全に遮断できるかのように。再びペンタブレットを手に取り、ほとんど自罰的な激しさで、線を刻みつけていく。

描け、水原礼音、あなたは描くことしか許されない!仕事で自分を埋め尽くせ、考えるな!今のこの痛みは、あなたの贖罪の一部なんだ、自業自得なんだ!

翌日の夜、私は部屋の小さな机に身を縮こまらせ、『夢見る者たち』を描き続けていた。伊藤瑠唯の世界に完全に没入している間だけ、束の間の休息を得られた。

突然、携帯の画面が光り、新着メッセージを告げた。

水原真衣からだった。

「デート終わった。三浦さん、会社で急用ができたって言って、先に帰っちゃった。でも、全体的な雰囲気はすごく良かったよ!」

私はメッセージを凝視し、画面の上で指を彷徨わせた。彼女のために、ほんの少しでも喜びを絞り出そうとしたが、心が完全に麻痺していることに気づいた。結局、私は乾いた声で「そう」とだけ返信した。

しかし、メッセージが無事に送信された後、私の心は巨大な岩でも乗せられたかのように、重く息苦しかった。なぜ、自分が後押しした結果が、これほどまでに息苦しく……そして偽物だと感じさせるのだろう?

その時、携帯が狂ったように振動し始めた。高橋真佑からの電話で、声が切羽詰まっていた。

「水原礼音!今送ったやつ見て!早く!友達の高峰梨沙が今見たんだって!あなた、これ見た方がいいと思う!」

強烈な予感が、瞬時に私を捉えた。震える手で、高橋真佑が送ってきた画像を開く。

それは、数枚の不鮮明だが判読可能なチャットログのスクリーンショットだった。

投稿者は、高橋真佑の友人の友人らしい。

「気まずさMAXの現場観察メモ。今夜、映画祭で、すごく美男美女のカップルを見かけた。男の人はかなり夢中になってたみたいだけど、女の人はずっとスマホいじってて、退屈そうな顔で、『この映画いつ終わるの?』『超つまんない、意味わかんない』『有名人一人も出てないじゃん』って小声で文句言い続けてた。なんでこういう人が自主映画祭に来るのかマジで謎……#チケットの無駄遣い#」

私の血は、瞬時に凍りついたかのようだった。

添付されていた写真は、こっそりと撮られたらしく、薄暗い劇場の隅で少しぼやけている。だが、誤ってフラッシュが焚かれたのかもしれない。一枚の写真には、最前列に座る女性の横顔と、見覚えのある、念入りに選び抜かれた「アーティスティック」なワンピースがはっきりと写っていた。

水原真衣だった。彼女は俯き、携帯電話の画面から放たれる光が、その顔に浮かぶ紛れもない退屈と焦燥をくっきりと映し出していた。

「こんな……こんなはずじゃ……」

私は呟いた。指先は氷のように冷たく、携帯を握りしめることさえままならない。

すぐに高橋真佑から別のメッセージが届いた。どこかのグループチャットからの、さらに詳細なスクリーンショットだった。

「友達の友達が、ちょうど彼らの真後ろに座ってたんだって!まるで実況中継みたい!その女の子、完全に上の空だったみたいで、しかも『シネマトグラフィーって何?すごく言語的ってこと?』みたいな、超絶イタい質問までしたらしい。男の人の顔は、その場でみるみる青ざめたけど、礼儀を保って嫌悪感を堪えながら説明してあげてたって。上映後、カフェで彼女が『なんでデートでミシュランのレストランに行かないの』とか、『一番好きなアーティストはSNSのインフルエンサーでフィルターのブロガー』とか文句言ってるのが聞こえたってさ……。結局、男の人はすごく不機嫌そうな顔で、何か言い訳して先に帰っちゃったらしい。その人、結構有名なプロデューサーなんだって?この女の子、あまりにも……」

それ以上は、読めなかった。

完全に力の抜けた私の手から携帯が滑り落ち、「ドン」という鈍い音を立てて床に転がった。

世界がぐらぐらと揺れ、崩壊していくようだった。

これが……水原真衣の言う「全体的な雰囲気はすごく良かった」の正体?

これが……三浦享真が「すごく不機嫌そうな顔で」帰った、ということ?

罪悪感と自己嫌悪で必死に抑えつけていた危険な思考が、ついに自ら築いた檻をすべて突き破り、耳を聾するほどの大声で、私の頭の中で狂ったように叫び始めた。

わかってた!こうなるってわかってたんだ!彼女は何もわかってない!本気でこういうものを愛せるわけがない!最低限の偽装さえできないなんて!なんて薄っぺらいんだ!

前世の記憶が、決壊したダムのように押し寄せてきた。しかし今回は、甘い郷愁ではなかった。それは鋭く突き刺さる皮肉となり、私を激しく苛んだ――

『移民の歌』について語り合った時の、三浦享真の瞳の輝き……。過小評価された自主映画を巡って、熱くも互いを認め合った私たちの議論……。私が映画の深いメタファーを本当に理解していると知った時の、彼の驚きと喜びに満ちた賞賛……。

「シネマトグラフィーは映画の魂なのよ」

前世の私は、彼にそう真剣に語った。

「時にセリフよりも強く、監督の最も深い心を表現するの」

その時の彼の私を見る眼差し、魂の伴侶を見つけたかのような、はっとするほど明るい喜び……。

あの光も、あの喜びも、セリフを棒読みし、上映時間に文句を言い、「シネマトグラフィー」についてあんな馬鹿げた質問をするような部外者のために用意されたものでは決してなかった!

ダメだ!あれは決して私のものじゃない!もうこんなこと考えるのはやめよう!私は泥棒だ!裏切り者だ!

私は椅子から勢いよく立ち上がった。全身が激しく震えている。洗面所に駆け込み、蛇口をひねって、冷たい水で必死に顔を洗った。そして顔を上げ、鏡に映る、青白く、濡れそぼり、苦痛に歪み、涙に濡れた自分の顔を凝視した。

「水原礼音、何を考えているの?」

私は鏡の中の惨めな自分に、声もなく叫んだ。爪が手のひらに深く食い込み、三日月形の赤い痕を残す。

「前世のあなたは、小さい頃から守ってくれた姉からチャンスを奪った!あなたがすべての悲劇を引き起こした!今世では、絶対に同じ過ちを繰り返してはいけない!たとえ彼女が演じているとしても、たとえ彼女が彼を全く愛していなくても、それは彼女の選択!彼女の自由!あなたに裁く権利なんてない!あなたがすべきことは、償うことだけ!静かに、自分の罪を償うこと!」

それでも、涙は堪えきれずに溢れ出し、顔の冷たい水と混じり合って、洗面台に飛び散った。

どうして?

やり直したというのに、なぜ何もかもがこんなにも息苦しく痛むのだろう?

いわゆる「二人をそっとしておく」ことを選んだのに、なぜすべてが明白で、下品な惨事に向かっていくのを見届けなければならないのだろう?

なぜ私の贖罪は、別の形をした、それも三浦享真にとってさらに残酷な危害のように思えるのだろう?

私は心ここにあらずで部屋に戻り、再びペンタブレットを手に取ると、ほとんど意趣返しのように自分に創作を続けさせた。しかし、手の中のチャコールペンシルは制御不能に激しく震え、伊藤瑠唯の強く美しい顔を横切るように、深く、絶望的な、消すことのできない醜い傷跡を刻みつけてしまった。

窓の外の夜景は煌びやかで、ネオンの光が幻想的で惑わすような光を放っている。それは前世の数え切れない夜によく似ていた。小さな隅のカフェに座り、ガラス越しに街の万華鏡のような奇妙さを眺めながら、芸術への最も純粋な愛を分かち合い、夢の青写真を織り上げていた……。

携帯の画面が、闇の中で特に眩しく、再び突然光った。

新しい通知。誰かが私の最新の『夢見る者たち』の投稿にコメントしたのだ。

無意識に目をやると、涙がすぐにまた視界をぼやかせた。

コメントにはこう書かれていた。

「あなたの作品は、私の心に真摯に響きました。社会の現実に焦点を当て、ヒューマニズムに満ちたこのような創作は、この軽薄な時代において特に貴重です。芸術の本質を理解し、創作の独創的な意図を尊重する、より多くの人々に見てもらえることを心から願っています」

私はそのコメントを見つめ、涙がさらに激しくこぼれ落ちた。

今の私の作品を、気に入ってくれるだろうか?伊藤瑠唯の瞳の中にある葛藤と希望を、彼は理解してくれるだろうか?筆致の間に込められた、私を押し潰しそうな、誰にも言えない苦しみを、彼は感じ取ってくれるだろうか?

ダメだ!こんなこと考えてはいけない!私にその資格はない!

私は携帯を、まるで火傷しそうな熱いものでもあるかのように、机の上に鋭く伏せた。そして冷たい腕の中に深く顔を埋め、肩を激しく震わせ、抑えつけられた、声にならない嗚咽を漏らした。

ちょうどその時、隣の部屋から水原真衣が友人とビデオ通話する微かな声が、薄い壁を突き抜けて聞こえてきた。明るく、誇らしげな声だった。

「今日の三浦享真さんとのデート、超成功だったよ!彼は私の芸術的な洞察力と深い思考に完全に征服されちゃった。映画制作の核心についてたくさん語り合って、特に私のユニークな視点を絶賛してくれたの……」

彼女は、嘘をついていた。

あまりにもあからさまで、穴だらけで、どこか滑稽でさえあった。

しかし、これらの嘘は、姉の前で自分自身の華やかなイメージを保つためのものなのだろうか?電話の向こうの友人を騙すため?それとも……真実を知りながらも、彼女の演技に付き合わなければならない、はっきりとそれを聞いている哀れな私を騙すためなのだろうか?

私にはわからなかった。

そして、知りたくもなかった。

なぜなら、たとえすべての答えを知ったとしても、私には何もできなかったからだ。

私はただここで、彼女の偽りの凱歌を聞きながら、静かに、粉々に砕け散ることしかできなかった。

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